提言:女性の仕事人生(キャリア)についての理解者が少なすぎる、 これ、問題じゃありませんか?
勝谷桂子

 ダイバーシティが最近は話題になっていますが、この言葉が意味する「多様性」の中でも、女性社員のマネジメントは緊急性を求められているせいで、私にも話を聞きたいと企業の方々からよくお声がかかります。とくに女性管理職をどう育てるべきかは、大手、中小を問わず共通の悩みといえそうでセミナーや講演でもこの種のテーマが増えてきました。
本来、男女のマネジメントには基本的に違いはないはずです。だけど、かくも企業の悩みが深くなっているのはなぜか。女性である私の立場から結論的に申し上げると、マネジメントする側に女性の仕事人生についての理解者が少なすぎるように思えるのです。

 女性は男性に比べて短距離走者であることを強いられます。20代後半からは結婚、出産、育児とイベントが相次ぎ、いくつもの選択を迫られ、そうした選択を乗り越え、乗り越え、キャリアを重ねていくのですが、この期間、女性は早く自分のステージを手にしたい、早く自分の地位をつくりたいという強い思いを持っています。男性社員はといえば、じっくり長期の目標を据えてイベントにわずらわされることなく自分のペースで走っていきます。

 女性社員がスタートダッシュに強いと言われるのはこのせいです。1年、2年、3年と、一気に走って、短期間で自分の成長の手ごたえを感じて、安心できるポジションを手にしたいのです(私が会社に入ったとき、所属部門の上位の社員がすべて女性だったことを体験したことがあります)。

 短距離走者の女性社員と長距離走者の男性社員。こうした男女の違いを分かった上でマネジメントするのと、ちっとも分かろうとしないマネジメントでは、結果が見えています。女性マネジメントの基本はここにあると思うのです。女性がこんな意識で仕事に取り組んでいるからといって、競争心だけの人間かといえば、一方では、産休をとるときは職場に迷惑をかけたくないという思いで一杯なのも女性特有の心理といえるでしょう。こんな場合、半年、1年とキャリアを停滞させることで男性に追い抜かれることを一向に気にしないところもあります。

もう一度申し上げます。
女性は短距離走者である。自分らしく仕事の出来る場所を早く手にしたいと思っている。そこに男女のマネジメントの違いがあることを分かっていないと、いたずらに女性社員に厳しかったり、逆に甘やかしたり、彼女の成長につながらないマネジメントをやってしまう危険性があることを知っていただければと思います。ひとつ例をあげれば失敗は成長の機会です。女性だからといって彼女の失敗の機会を奪わないで下さい。男女の失敗体験の数を同じにするのも女性マネジメントのコツのひとつだと、私は考えています。

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