提言:女性が求める働き方は「これからの時代」の働き方になる
津田正利

 仕事をする人たちの価値観や生活様式は変わってきています。女性が男性と同じように仕事をする時代になりました。そして、これまでは主に女性が担ってきた家事や育児に男性が参加するようになってきています。 幼稚園に通う子供が熱を出したので仕事を中断して迎えに行かなければならない。子供がまだ小さいので早目に帰宅して子供と時間を過ごしたい。子供の具合が悪いので家で仕事がしたい。こんな悩みは育児中の女性だけのものではなくなってきています。

 仕事はしたいが家庭も大切にしたい。そしてプライベートの時間も大切にしたい。そのためにできるだけ効率よく仕事をしたい。そんな女性の想いは本来男女問わず誰にでもあるのではないでしょうか。これまで「女性が求める働き方」だと言われてきたのは、実は男女問わず「これからの時代の働き方」のような気がしています。

 この働き方に関する要望をパソコンとインターネットの普及が実現に近づけてくれます。事務作業の多くはパソコンにより効率化が進みました。また、インターネットの普及によって仕事場の空間的制約が少なくなり、どこででも仕事のかなりの部分ができるようになりました。テレワークや在宅勤務も少しずつ広がってきています。毎日会社のオフィスに通わなければ仕事ができない時代ではなくなってきたのです。それが許されないとすれば、それは時代遅れの法律や会社の規則、そして旧態依然とした労務管理や組織運営の考え方のせいでしょう。

 パソコンとインターネットの普及により仕事の内容も変わってきました。より創造的な仕事を人が担うようになってきています。自宅で仕事をするか、近くのカフェや図書館で仕事をするか、そしてオフィスで仕事をするか、その時々の状況や仕事の内容に応じて使い分けが可能です。オフィスという仕事場を訪れる目的は、ディスカッション、情報収集、モチベーションアップ、特殊機器や設備の利用、そして集中するため、などになるでしょう。

 オフィスが、働く人にとって「毎日行かなければならない」ところではなく「必要なときに行きたくなる」空間になるといいですね。それはあたかも会員制クラブハウスのようなものかもしれません。
 働く女性の要望が、これからの働き方に合ったオフィスのあるべき姿を教えてくれそうです。「女性のためのオフィス」をデザインするということは、実のところ「これからの働き方のためのオフィス」をデザインすることになるのではないでしょうか。

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