IT人材の不足は新卒をスカウトして補え

企業がこれと見込んだ学生に接触して応募を促す「スカウト」型の新卒採用が広がってきた。(日経12-05)

今まで、スカウト方式での人の採用は中途の専門職を対象とした転職市場が先行していた。新卒学生をリストアップするクラウドサービスが本格的に登場したのは12年ごろから。人口減で売り手市場が続くなか、ブランド力に弱い中小企業が学生への「自社アピール」として仕組みを使い始めた。それが最近は、創造性やIT(情報技術)能力にたけた学生の獲得を狙い大手でも導入が相次ぐ。

 

仕組みはこうだ。学生は採用支援の会社のページに、大学の専攻はもちろん、適性診断の結果に加えて、「留学しました」「起業しました」「プログラミングできます」といった自己アピールを入力する。利用企業はこれらを元に欲しい人材を絞り込み、メッセージ機能で連絡を取り、インターシップや面談に誘うことができるのだ。

 

従来の新卒採用だと効率よく大量の学生にアプローチができていたが、自社に興味のある学生しか来ない、採用後のミスマッチが多い等の課題があった。しかし、スカウト型だと、欲しい人材をピンポイントに採用することができる。採用担当の手間が増えるなどの課題はあるものの、産業界で共通しているIT人材の不足という課題には一歩リードできるだろう。

 

経団連も、2020年の春季労使交渉に向けた経営側の指針案でデジタル人材獲得狙うべく、 日本型雇用の見直しを訴えることとなった。デジタル時代に対応した雇用システムが求められている。スカウト型の新卒採用に見るIT人材の一本釣りは、日本型雇用の変化に繋がるという期待も含まれているだろう。