3.11から9年 教訓を生かそう

2011年3月11日に起きた東日本大震災から9年。新型コロナウィルス感染拡大防止の影響で追悼式が中止となっているが、今回の感染症の恐怖と混乱に3.11を引き合いに出す声は多い。

「3.11は間違いなくまた来る」。それが東北なのか東京なのか分からないが、「予言とか予感でなく、確信に近いものがある」と作家の辺見庸さんが日経新聞で語っている。

震災は社会を根底から大きく変えた。ただ「それを整理する間もなく、新しい出来事が次から次へと起き、教訓が教訓にならないままになっているような気がする」。
3.11によって物質文明は大きく揺さぶられたと考えている。物の文明がいかに進歩しようと、「あの規模の破壊が起きると、一瞬で跡形もなく壊されてしまう。目の前の現象だけでなく、起きた出来事の本質は何なのかを巨視的に考えることが必要ではないか」と指摘する。(日経03-11)

新型コロナウィルスが引き起こしている経済危機コロナショックに誰もが不安を抱えている。交通、販売、観光、教育などの閑散とした姿に、3.11を思い出す。2月末から続いている各方面の自粛も、さらに10日程延長することが要請された。しかし、中国、韓国、イタリア、イランの患者数の急増に比べれば、日本は微増にとどまり抑制が功をなしているようだ。

震災からの復興があるように、コロナショックにも出口がある。俳優であり歌手の中村雅俊さんは、「いろいろな人に会うたびに、(身内を亡くすなど)全てが悲劇だった。その悲しみを乗り越え、先を目指している多くの人がいる。被災者の笑顔が増えている」と話している。震災を教訓にして、踏ん張り上を向こう。