2100年、想定を超す地球温暖化がもたらすものとは何か?

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は25日、地球温暖化が海面上昇や生態系にもたらす影響を予測した特別報告書を公表した。(日経09-26)

 

13年の報告書では、2100年までに82センチの海面上昇があるとみていた。しかし、今回調査を重ねた結果、南極のほかグリーンランドの氷も解け、1901~90年に比べ2.5倍の速さで海面上昇が起こり、その高さ最大1,1メートルに及ぶと予測した。それにより、沿岸部にある湿地の2~9割が消失し、1年あたりの沿岸の浸水被害は現在の100~1千倍に増えるとみている。

 

その他、報告書では、

・海面の温度が急上昇する「海洋熱波」という現象が今世紀末には50倍の頻度で発生し、海の生態系に危機的な打撃を与え、魚の収量は20~24%減る。

・欧州やアジアなどの規模の小さな氷河のほとんどが、8割以上解ける。

・一年当たりの沿岸の浸水の被害は現在の100~1000倍に増加する。

・永久凍土の融解が進み、小さな湖が増える。

と、公表した。

 

日本では、海面が1メートル上昇すると国内の砂浜面積の9割が消失するという。高潮や高波の影響を受けやすくなることも予想され、防潮堤や低地のかさ上げなどの対策も求められる。

西欧諸国は二酸化炭素(CO2)の排出量に応じて負担を求める炭素税の導入などで先行している。環境対応に消極的な企業から投資を引き揚げる動きが世界で広がるなか、日本も官民をあげたさらなる取り組みが大きな課題となる。