2020年は男性の育休元年になる

小泉進次郎環境相に第1子が誕生し、今後3カ月間で育児のために計2週間程度仕事を休むと表明した。2019年1年間に国内で生まれた日本人の赤ちゃんは86万4000人と、一気に90万人を大きく割り込んだ。家庭内で1人目の子供の世話に父親がかかわる時間が長いと、その家庭は2人目を産みやすくなるという相関関係を示すデータがある。少子化対策としても、働き方改革としても、そして家族のあり方を問い直すうえでも、意義ある政治決断である。

小泉環境相の育休取得宣言にとどまらず、政府は男性の国家公務員について1カ月以上の育児休暇・休業を取らせる仕組みを4月に導入する。企業に取得促進策を義務付ける法案の議論も政府・与党内で進んでいる。(日経01-18)

 

若手リーダーと目される小泉大臣の”育休取得宣言”は「育児は女性の役割」といった従来の価値観を覆すと期待する声も上がっている。女性に偏る家事・育児負担は少子化の一因だ。男性が積極的に育児などにかかわることで子育て環境の改善も期待できる。

日本の2018年度の男性の育休取得率は6.16%にすぎない。上司の目を気にして、あるいは自分自身の昇進にマイナスになるのでは、と心配して育休の取得に二の足を踏んでいる男性もいる。小泉環境省は今回の「育休」は、公務をまる1日休む日もあれば時短勤務やテレワークの日もある、とも表明した。この働き方は取得を迷っている父親の背中を押すだろう。

 

小泉環境省が結婚を発表した翌月、イベントで心情を吐露した。

「あの日以降、これで一人前だね、政治家としても厚みが増すね、と何人に言われたことか。結婚しないと”成人”と見なさない人がこれだけ多い日本は、ほんとうに硬い」

男性の閣僚としての育休取得は、結婚・出産が男の一人前の証しだとみる、ある世代以上の日本人の多くにとってはあたり前の空気、その「硬い岩盤」に穴をあけようとしての決断だったのかもしれない。

 

折しも、昨年末発表の世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数で、日本は121位と、前年の110位より下降した。政治経済の両面でリーダー的立場の女性が増えていないことが理由だ

男性の育児休暇の取得は様々な効果が期待される。