女性の管理職登用が進まないのはどこに原因があるのか?

女性の力を成長戦略の柱にしょうと、政府は企業における女性の管理職登用に躍起だが、日本経済新聞社が調べた全国の企業の女性管理職の割合は7.8%。前年より0.6%上昇という結果だった。東京都の15.1%がもっとも高く、鳥取県の12.9%がこれに続く。欧米のそれはアメリカ42%、フランス39%、イギリス34%と段違いの数字なのだが(ILO 国際労働機関)、それでも2020年までに課長以上の女性比率20%を目標に掲げる東京は、なんとか面目を保っているといってよいだろう。

ところが帝国データバンクによる別の調査では、企業の女性管理職が1人もいない割合がお隣りの神奈川県で6割近くにのぼっているという(読売新聞)。全国平均では半分程度というのだが、首都圏のお膝元でこの実態には驚く人は少なくないだろう。調査は今年7月に県内企業982社を対象に行われ、474社から回答を得た。女性の管理職がゼロと回答した神奈川県の企業は56.5%。全国平均は50.9%だから地方の企業よりもゼロ企業が多いということになる。これを管理職のうち女性が占める比率でいうと、県内企業は5.9%で女性の管理職起用の遅れが目立ってしまう。

さらにこれを企業規模別に見ると大きな問題が潜んでいることに気づく。大企業6.3%、中小企業6%、小規模企業9.7%で、企業規模が大きくなるほど女性軽視の傾向が強くなっているわけだ。大規模企業の女性登用の問題意識のありようには首をひねらざるをえない。日本の女性登用の道はるかの感があるのだが、その原因の一つに大企業の牽引力に弱さが見られ、さらに女性自身が管理職をめざすことに乗り気でないという調査もあるようだから、問題はことのほか深刻だ(9-17岩崎)。