週休3日で生産性向上が達成できる理由は?

週休3日制の企業が少しずつ出てきた。

日本マイクロソフトでは2019年8月、約2300人の全社員を対象に給与水準を維持したまま、週休3日制を試験導入した。対象となった金曜日は5日。半数以上が夏季休暇や有給休暇も取得したことで、就業日数は前年同月から25%減った。売上高は結果、社員1人あたり前年同月比で4割増えた。「ウィンドウズ7」のサポート終了を前に買い替え需要があったことも関係しているが、生産性が向上したことは事実だと同社は見ている。

この週休3日制は勤務日だけを減らし、業務効率を高めるためのチャレンジだと位置付け、社員の給与水準や待遇、責任範囲、目標は一切変えなかった。業務効率を上げるため、不要不急の仕事を仕分けし、会議を縮小した。30分以内で終わる会議の比率は前年比で5割近く増えたという。(日経01-27)

 

ニュージーランド(NZ)にも先例がある。ある資産運用会社18年に実施した週休3日制では生産性が2割上がった。この会社も給与水準は変えず、会議の短縮やマニュアル作業の自動化で生産性を高めた。導入前後の調査を比べると従業員のストレスレベルが低下した。家族と過ごす時間が増えてリラックスしたり、自己研さんしたりする余裕が出ると仕事に良い効果をもたらすことが多いようだ。週休3日制はワークライフバランスの向上につながる

 

売り上げや生産量が維持でき、給与が変わらなければ、週休3日制は実現に近づく。休みの増加で消費が活発になり、経済全体にプラスの影響が出るとの見方もある。

しかし、全面的な導入はかなり難しい。日本では正社員でもパートタイム労働者でも働いた時間に応じて給与が決まる人が多いからだ。この働き方だと、労働時間の短縮によって、家計所得が減り、経済の低迷を招くおそれがある。

直近では政府が月末の金曜日に早期帰宅を推奨するプレミアムフライデーを実施した。月に1度の「週休2.5日」を目指したが、定着しなかった。給与が減ることへの反発や、契約・経理処理が集中する月末に仕事を休めない人が多かった。週休2.5日の部分実施でも難しいのが現実だ。

 

では、なぜ日本マイクロソフトは週休3日でも生産性向上を成し遂げたのか?

それは、労働時間ではなく、成果に対して給料を払う考え方が社員に浸透していたことがプラスに働いたからだ。

給与と労働時間が連動する賃金制度の見直しが必要になりそうだ。それと並行して、仕事の無駄を省かないといけない。長時間の会議などをやめ、業務の中身を見直すことも週休3日制導入の大前提となる。