自分の業界・職種にあった資格の選ぶコツは?

キャリアアップや転職活動で大きな役割を果たす資格。これからどのように働きたいかを考え、資格を選ぶにはコツが必要だ。社会人に必須の基本的な知識が身につくものから、持っていれば専門性をアピールできるがその分難易度が高いものまで、自分の業界・職種にあった資格をどのように選べばよいか資格取得の学校を運営する「TAC」の担当者にポイントを聞いた。(日経04-03)

 

 

 

まずは基本的な資格として、今も昔も重視されているのが英語・簿記検定・IT系の資格の3種類。TAC宣伝企画部の縄野朋子さんは「この3つは社会人として知っておくべき知識に関する資格。どの業界・職種でも持っていて決して損はない」と入門編として勧める。

簿記検定は財務諸表の作成の仕方を問う内容で、3級であれば比較的短期間の勉強で取得も目指せる。中小企業診断士や税理士などほかの資格の取得を目指す場合の入門としても役に立つ。また、財務諸表を情報として理解分析できるかどうかを試すビジネス会計検定試験も2007年に登場し、受験者数も徐々に増えている。

ITスキルを問う資格も根強い人気だ。中でも基本的で汎用性が高いのが情報処理推進機構(IPA)が実施している「ITパスポート」だ。ITを利活用するすべての社会人・学生が備えておくべきITに関する基礎的な知識が証明できるという。

この3種類の資格勉強をすれば社会人に必要な知識が身につくだろう。内定後に簿記検定やTOEICの受験を促す企業もあり、学生時代に取得すれば就職活動でも評価につながって一歩リードすることもできる。

より専門的な知識を学びたいのであれば、研修を終えた後、配属先の部署や業界に応じて業務に役立つ資格を選ぶのもよい。
例えば金融・保険業界ならファイナンシャルプランナー(FP)、不動産系なら宅地建物取引士などがある。会社側も社員が資格を取得すれば専門性の高い人材が増えるなどメリットになるため、取得すれば奨励金のような形で報奨を出す企業も多い。さらに資格取得やスキルアップに役立つ講座受講料を補助している企業もある。近年の働き方改革推進の動きもあり余暇の時間を有効に活用する社員も多いという。働きながら資格勉強をするためには効率よく勉強することが必要だ。帰宅後の勉強時間の確保はもちろん、通信講座ならアプリを利用し授業の動画が見られるサービスもある。

TACによると、17年に資料請求数が最も多く人気があった資格は簿記検定だという。近年の傾向としては、20年東京五輪を控え不動産取引が活発になる影響で、宅地建物取引士の取得を目指す人が増えている。将来独立や開業を視野に入れるなら、公認会計士や税理士、国際的な証券アナリスト資格のCFAなど難関資格に挑戦するのもよいだろう。
18年にTACで講座を申し込んだ人を年代別に見ると20代が最も多く38.6%。入社を控えた学生を含め若年層の資格取得に対する意識は高い。
資格は所持することが目的ではなく、あくまでスタートライン。勉強で得た知識をどのように活用するかがより大事であり、将来のキャリアプランを描きながら、どの資格が仕事につながるのかを考えて取得を目指すとよいだろう。