米欧の経営者がエンゲージ調査に熱心な理由

米国IBMが昨年発表した調査によると、「仕事に主体的に取り組む人」の日本の割合は世界43か国中42位だったそうだ。日本より劣るのはハンガリーだけだった。同じようなギャラップ社の調査でも、日本は139か国の中で132位である。どうした、日本のサラリーマン!(日経新聞1-29)

 

調査は次のような質問で行われた。「仕事で自分の得意を活かす機会があるか」「最近3週間に自分の仕事が褒められたり認められたりしたか」「職場に親友がいるか」「過去1年間に仕事で学び、成長する機会があったか」…。調査の目的は職場における個人の仕事の熱意を調べるというもので、米欧ではこの手のアンケート調査がひんぱんに行われ、エンゲージメント(仕事への熱意)調査と呼ばれる。この結果からかいつまんでいえば、日本人は会社で熱意を覚えることが少ないというのだが、かといって自分の熱意を発揮させる場を求めようという「熱意」もなさそうだ。別の調査では「この会社でずっと働きたい」という積極的終身雇用派25%に対して、「移りたいと思うことはあるが、このまま続けることになると思う」イヤイヤ消極派が40%と出ている。(近畿大学調べ)

職場のやる気、熱意を測る意識調査にはとくに米国の経営者が熱心だ。社員の不満が高まれば、優秀な人から順に会社を辞めることになり、大きな損失につながるからだ。

 

日本の経営層は社員の離職率が低いことに安住して働き手の心のありように鈍感だが、日本人は受動的な真面目さはあっても積極的に仕事に向き合う姿勢には欠けるのではないかと、本紙記事は次のように断言する。「社員の意欲をもっとも左右するのは直属上司との関係だ。こうしたことに無関心なままだと確実に組織の力は減退し、労働生産性の低さにつながるだろう」。担当記者は最近なにかあったのだろうか、声高にまとめている。