東証一部上場企業でもセクハラは起こっている

 ダイバーシティ時代ということで、にわかに露呈してきたのが一連のハラスメントだ。女性に対する嫌がらせを意味するセクハラに始まって、パワハラ(上司の横暴)、モラハラ(職場のモラル破綻)、はてはジェンダーハラ(異性に対する差別)とハラ系新語が相次いで登場している。とくに最近よく耳にするのがマタハラという耳障りの悪い言葉だ。マタニティハラスメントの略から来ているという。

 sexual harassmentを除けばどれも和製英語なのだが、それはともかく、働く女性が妊娠や出産を理由に不利益をこうむるマタハラはタチが悪い。新しい命の誕生を理由に嫌がらせをするわけだから、日本社会の悩みである少子化に影響しかねない卑劣な行為だ。そこで政府も大いに問題視して、新設の「一億総活躍相」がNHKの番組で、「絶対に許すことはできない」と強調した。来年の通常国会では、マタハラが著しい企業の摘発などを視野に入れた法整備を検討しているとも明かした。一億総活躍社会の実現に向けた緊急対策の中でも「妊娠、出産、育児休業などを理由とする不利益取り扱いなどを防止するため、法制度を含め対応を検討する」という(日本経済新聞)のだ。

 マタハラは小さい企業に起こりがちという一般のイメージは間違いだと、マタニティハラスメント対策ネットワークの「マタハラ白書」が報告している。マタハラを体験した女性は、社員規模別で「10人〜100人」が32%ともっとも多いが、「100人〜500人」規模では19%、「1000人以上」でも13%で、大企業であってもマタハラは行われていることが分かる。見逃せないのは東証一部上場企業で19%あったという事実だ。(11-30 岩崎)