本丸は同一労働同一賃金と、長時間労働の是正にあり  

 

安倍政権が意欲的に進める働き方改革。そのメニューは多岐にわたるが、「本丸」と言われるのは「同一労働同一賃金」と「長時間労働の是正」だ。この2つは労働力の確保、格差是正とコスト削減につながって経済成長の下支えとなるからだ。だが、改革がどこまで実効性をあげられるかは未知数だと朝日新聞電子版が伝える(9-28)。

 

まず同一労働同一賃金の実現に本気で取り組むなら、各企業の労使が年功的な賃金・人事制度のあり方の見直しを迫られかねない。また、長時間労働の是正により女性や高齢者の就労を促し、働く人の比率を高める効果は大きいものの、企業側は出来るだけ正社員の数をおさえ、仕事が増えると非正社員を採用したり、残業時間を増やしたりして対応する傾向が強めてきた。労働組合もそんな対応を追認してきた。こうなると問題は長期雇用の正社員を中心に据えてきた日本型雇用システムへの取り組みにまで及んでくる。そういう事情が改革の壁となりかねないと指摘する。

 

働き方改革のそもそもの動機は、日本の労働条件の特殊性について海外から是正を求められたからだ。これを経済成長と関連付けて推進しようというところで複雑な取り組みを強いられることになった。経済界も労働界も総論では賛成しながら、中小企業の人手不足の状態化や非正社員の固定化など、日本の雇用慣行が大きく崩れることを懸念する。(9-28 岩崎)