日本の生産性、過去最低に並ぶ

日本の製造業の労働生産性が低下の一方で、それが政府の「働き方改革」の推進の理由になっているわけだが、日本生産性本部が分析した2015年の最新の数字はまたしても過去最低だったことが分かった(日経12-27)。

 

OECD(経済協力開発機構)に加盟の主要29か国中での順位は14位。これまでの最低だった08年、14年と並んだ。日本は2000年まで主要国の中で1位だったが、その後7位、10位と大きく後退し、優位性を失ってきた。今回の数字は米国の7割で、10年時点では日本が上回っていたドイツやフランス、英国といった他の先進国にも逆転された(為替相場が円安となったことも原因にある)。一方でスイスやデンマークなどは、精密機械や医薬品などのグローバル企業が本拠を置いていたり(スイス)、風力発電や補聴器などニッチな領域で先端技術を持つなど(デンマーク)で近年労働生産性が急上昇し、競争力を高めるといった例がある。

 

「働き方改革」の最終目標は生産性向上の向上だ。日本政府は革新的な技術に投資した企業には減税などの優遇策を打ち出して生産性向上に向けた巻き返しをめざしている。

労働生産性は労働者一人あたりがどれだけ効率的に働いたかを示す数字だ。国全体の付加価値額を労働者数で割って算出する。2015年の日本の生産性は9万5063ドルだった。近年は製造業の生産工程を低コストの新興国に移す傾向が加速したが、このところは品質を問題として国内にUターンする動きも目立っている。