女性活躍推進法の精神を実現するカギは「上司たち」

「女性活躍」が国家プロジェクトとして注目されながら、待機児童の問題や男女賃金格差、仕事と家庭の両立、はてはセクハラ・パワハラまで、さまざまな障害にメスが入れられようとしている。日本で女性が仕事を続けていくには、未整備な環境があまりに多いのを実感する。そうした中、上司の女性マネジメントをテーマとする調査が紹介されている(日経6-6)

 

人材育成のトーマツイノベーションは東大との共同調査で、女性社員に、「上司は仕事の機会を与えてくれるか」と聞いたところ、否定的な回答が29%に上った。昇格や昇進に必要な知識・技能を身に付ける機会を自分の上司は与えてくれてないと感じる女性が3人に1人近くいるということだ。同じ質問に否定的な回答の男性は22%だった。仕事の割り振りや評価でも、「男性のほうが優遇されている」と感じる女性が45%。男性よりも14ポイント高かった。この結果、昇進したいと考える人は、男性の57%に対し、女性は48%にとどまった。この結果について調査は、「男性中心で長時間労働をよしとする職場で働くうちにやる気がそがれ、『もういいや』と見切りを付けてしまう人が少なくないとうがった見方をするが、日本社会全体で見ると、この調査結果はまだまだいいほうではないか。

 

夜中まで働くのが「いい社員」の条件だったのは古きよきサラリーマンの世界だ。あらゆる国際標準がいやがおうにも持ち込まれた結果、昨日までのよき習慣がにわかに悪習と名指しされて当惑しているのは、ほかでもない上司たちだろう。その人たちが女性活躍推進法の精神を実現するカギになっている。