女性活躍、ダイバーシティの推進役は女性が「常識」?

女性活躍の推進は女性の役割というのが常識化していたが、このところ風向きがやや変わってきたようだ(日経 9-24)。これまでの考え方は、女性活躍は女性の問題だから女性が担当するのが適任というものだった。これは分かりやすい考え方で、ほとんどの企業の女性推進、ダイバーシティ担当部門のトップは女性が担ってきた。

たしかにカタチとしてはいいのだが、やっているうちにこれでは男性社員の関わりが弱くなって、全社的な意識が高まらないという反省が最近になって浮上してきた。このことにいち早く気づいた企業は男性の推進役を増やしつつある。住宅業界のA社では「女性活躍には最低限の知識しかなかった」という46歳の男性課長を働き方支援室チームマネジャーに加えた。女性登用や障害者雇用などをサポートする。アパレル業界のB社はダイバーシティ推進課を2014年に立ち上げ、初代課長に56歳の男性課長を抜擢した。本人には青天のへきれきの人事だったが、女性社員の比率が8割を超えるのに結婚や出産で多くが辞めていくという積年の問題に取り組むことになった。

ダイバーシティ推進部門に投入される男性社員がすべてサプライズ人事かといえばそうでもない。外資系保険のC社ではグループ全社の責任者として、大学院でダイバーシティマネジメントを学んだ30歳の男性社員を配置した。まず取り組んでいるのは優秀な女性社員を育てるための男性上司の意識改革だという。女性活躍、ダイバーシティ推進の各社の試行錯誤が続く。