夫に養われる人生を選ばなくなったアラブ女性たち

一夫多妻で知られているアラブ諸国だが、最近は様子が変わってきたと読売新聞カイロ支局からのレポートが伝えている(6-18)。サウジアラビアの政府統計によると2人以上の妻を持つ割合は1割前後。20年前の3分の1になった。理由は夫に養われる人生を選ばない女性が増え、働く女性が増える傾向にあるからだ。

 

かつてアラブ社会では、女性は10代で結婚し、夫に養われるのが当たり前だった。今は大学に進学し、仕事を持ち、晩婚化が目立ち始めている。国全体も変わりつつある。サウジアラビアでは石油に頼る経済を続けてきたが、最近はシェールオイルなどの影響を受けて苦しい経済構造になってきた。「女性も働かないと生きていけない」という時代に入ったのだ。国もこれを支援する。女性の就労を重視して、職場における女性の割合を現在の22%から30%に増やす目標をあげた。これを2030年までに達成するという。

 

現地に進出している日本企業の間では、アラブの働く女性は「男性より真面目。男性が担当していた仕事を女性に代えたら効率が3倍になった」という。サウジの女性の社会進出は最初、学校の先生やお医者さんから始まったが、最近は工学系を専攻するリケジョが増えてきたと視察に訪れた日本の政府関係者が述べている。テロや難民など不穏な空気ばかりが伝えられるアラブ社会だが、一方で女性活躍の流れは着実に進んでいるようだ。