地方の人手不足は都市部で補うという新しい発想

地方企業の多くは、人手不足だけではなく、業務遂行に必要なスキルを持つ人材の確保にも苦しんでいる。日本商工会議所と東京商工会議所が6月に発表した調査によると、中小企業の61.2%が「即戦力となる中堅層・専門家」を採用できていないと回答した。その理由については、「立地地域に求めている人材がいない」が60.3%を占めた。(日経10-30) 

そこで新しく登場したのが、都会で働く会社員に対し、地方での副業を紹介するサービスだ。大都市圏の副業希望者と、人材難に苦しむ地方の中小企業のニーズは補完関係にあるとして、パソナグループなどの人材大手や地方銀行が参入した。

IT(情報技術)や財務など、大手企業で培ったスキルに期待する地方の中小企業は多い。地方創生に関心のある都市部の会社員も多く、副業の求人サイトへの登録者は増えている。しかし、副業といえど地方で働くには転居が伴うのではという心配が伴う。そこで新しい切り札として登場したのが、テレワークなどのリモートワークで都市部に住みながら地方で働くという方法だ。これなら、地方で働くという心理的なハードルも下げられる。

 

副業の広がりを人材獲得の好機と捉えたのは中小企業だけではない。地方自治体も目を光らせる。行政手続きのIT化や訪日外国人の増加に伴う国際化など、地方自治体の業務も多様化しているからだ。大手企業でスキルを身につけた会社員にとっても、活躍の場が広がり、ともにメリットがある。