出勤日時限定社員の効果のほどは?

 勤務日数を週4日にして、好きな曜日を休日にして、一日の勤務時間を5時間に抑える、そんな社員のあり方は経営にとって得か損か。気になる実験が日本ケンタッキーフライドチキン(KFC)で始まったようだ。子育てや親の介護をしながら店長まで昇格できるキャリアアップの道筋をつくって、やる気を引き出そうというのがねらいだという。(日経3-18)

 この試みが画期的なのはあくまで正社員という身分にこだわっていること。同社には1万4000人のアルバイト、パート社員が店舗で働いている。このうち800人くらいが新しい条件の社員を選択すると予想されるのは収入が年間70万円ほど増えるというのが大きい。これだと子育てや親の介護をしながらの女性も働きやすくなる。
そこまで経営側が待遇改善に傾いたのは、外食業や小売業の人手不足が想像以上に深刻だからだ。業界各社は採用に力を入れる一方で、従業員引留め策に必死の構えだ。どんなに雇用を確保してもザルから水が漏れては元の木阿弥(もくあみ)。つまり途中で辞めないようにあの手この手を尽くさざるをえない。

 KFCが働き方の見直しによって、パート社員を正社員に登用しようと試みたのはその一環といえるだろう。雇用を確保しながら、なおかつパート社員のやる気を引き出そうと知恵を絞る経営側、介護や育児などの家庭の事情を働きやすい職場を手にすることで解消しようとする従業員側。国の施策が常に後手に回るところを労使の賢い知恵がカバーしている時代だ。(3-22 岩崎)