共働き率、女性管理職率も低い、奈良県の「女性活躍」への取り組み

 日経電子版の「NIKKEI STYLE」で、女性活躍は地域によって事情が違うというレポートを読んだ。タイトルには「共働きは多いが女性管理職は少ない」として北陸地方の例があげられている。夫婦の共働き率の全国平均は45.4%、そして女性管理職比率は13.4%なのだが、富山、福井、石川の北陸3県にかぎって共働き率は高いのに女性管理職比率は全国平均以下なのだ。

 つまり働く機会と昇進機会が比例しないという特異な現象なのだ。その原因を問われて北陸の企業は「女性が昇進を望まない」と回答している。それもあるだろうが、しかし、もっと根本はこの地方の産業特性にあるようだ。YKK、不二越、三協立山など、この地方は日本でも有数のものづくり企業が集結している。それらの企業は理系や技術系、さらに力仕事に向いた男性たちが現場の中心として活躍する職場であり、女性がなかなかリーダーシップを振るえない事情がある。それでも最近は少しずつ変わってきたようで、政府の掛け声で経営者の意識が女性活躍に前向きになってきたようなのだ。

 一方で北海道、神奈川、埼玉、奈良などは共働き率、女性管理職比率も平均以下だ。このうち奈良県は県内に企業が少なく、県外の通勤に時間のかかる職場に通うため、子どもを保育園に預けて出勤するのが難しい。したがって出産を機に仕事を辞めることになる。もともと管理職登用など実現する素地がないわけだが、奈良県はこうした事情を逆手にとって、同県が全国でも女性の大卒比率が高いことから女性の起業家の育成に力を入れ始めた。経営者の自覚を待つよりも起業というかたちで女性活躍が推進されるのであれば、いまは遅れをとっている奈良県が女性活躍の先進県になる可能性だってあるだろう。(2-22 岩崎)