働き方改革の行方を左右する景気の不透明感

年の暮れの新聞各紙は一年間のまとめで忙しく、それを来年度予算案とからめて報道した。

話題の「一億総活躍」は安倍内閣の看板だったから予算配分はことさら強化された。女性や高齢者の働き手を増やし、活躍してもらおうという狙いがハッキリと見える。読売新聞の社説欄を取り上げてみた。

働き方改革の一環として、人口減少の中でも経済の活力を保っていこうというのが、予算全体を支えるコンセプトだ。子育て支援では、保育士の給料アップ、保育施設の補助などに1500億円の巨額を投じる。保育士は全産業平均より月10万円ほども低いのが現状だから少しは底上げ出来るだろう。これに企業内保育所への税制優遇も入って、待機児童問題の解消にもつなぐ。合わせて介護離職が年ごとに深刻化するのを見据えて介護職の処遇改善もはかる。配偶者控除の見直しは結局、控除の年収制限を103万円から150万円に引き上げようという構想。夫の年収制限も新たに設け、全体として控除を段階的に減らしていく。

読売新聞はこの日の社説を「未来への投資となりうるか」と題して論評した。……重点事業の狙いは理解できる。働き方改革関連として非正規雇用から正社員に切り替える企業への支援なども予算計上したが、これらの企業支援というものは経営者が自社の業績に明るい展望を持てるかどうかにかかっている……として、米経済の動向や中国経済の減速など、日本経済を取り巻く情勢は予断を許さない。17年度の税収が景気の改善を見越している点を指摘している。今年の景気の不透明感が「働き方改革」を左右しているのは間違いない。