働き方改革の次は「働きがい改革」へ

米ギャラップ社の17年の調査で、日本における「熱意あふれる社員」の割合は6%、世界139カ国中132位という驚くべき結果になった。さらに2月には、世界約60カ国、7千を超える各国企業の働きがいを調査した「働きがいのある会社ランキング(GPTW)」の20年版で、日本企業では「低下傾向」という回答が42.5%を占め、「改善傾向」を15.9ポイントも上回った。働き方改革が進み、長時間労働の是正などを進めた一方で、効率を重視するあまり、職場のコミュニケーションが減ったことなどが背景のようだ。(日経03-25)

 

この「やる気のなさ」に企業の経営層はエンゲージメントを重視し始めた。エンゲージメントとは従業員の貢献意欲を示す指標で、一般には「働きがい」と同じように捉えられる。欧米で先行した概念で、日本で本格的に広がったのはここ数年だ。単なる働き方改革だけでは、労働意欲を高めにくいと、経団連が旗を振り、組織の満足度などを測る「健康診断」を実施。職場風土を改善し、生産性アップや離職防止に繋げる。

 

「健康診断」は職場への満足度や人間関係のアンケートで、1回3分程度の実名で回答する形式だ。これを定期的に実施し、回答を分析する。職務や自己成長、組織風土など9つの指標で各従業員のエンゲージメントを数値化。部署や役職、年代など様々な属性で分析でき、他社と比較した偏差値も算出できる。

 

自社のエンゲージメントスコアを他社と比較して格付けし、公表する企業も出てきている。透明性を高めることで採用に好影響が出たり、営業利益率が向上するという。

 

2020年は働き方改革より「働きがい改革」に取り組むことが、企業の業績を左右するだろう。