働き方が変わらないと女性は活躍できない

職場に長くいることが自慢という時代が続いた。ほとんど会社で生活しているなどと冗談を言い合う日本のサラリーマン社会。それはつまり、長時間労働をプライドの源泉とする職場文化だと日本経済新聞の連載コラム「咲くか女性活躍社会」(6-16)が指摘している。

 

そんな変てこな文化も変えようと思えば変えられるのだ。そして、それはただ企業社会の変化でなく、家族社会を含めた社会全般の変化につながるのだと、同紙は一つの例を紹介している。東京・霞が関は終電後も建物の蛍光灯がともる「不夜城」といわれる。不夜城になる象徴的な仕事は国会質問の内容を質問予定者から聞き取って閣僚の答弁を作る「質問取り」だという。これが深夜残業を強いる。こうした働きかたが合わず泣く泣く辞職した女性、過労死した上司…。厚生労働省の女性管理職・Kさんの周囲にはそんな悲劇が山ほどある。とうとうKさんら11人の女性官僚が働き方を変えようと立ち上がった。議員に国会質問の内容を「前々日の午後6時まで」に教えてほしいと求めると、まず与党議員に変化が現れた。野党も前々日に通告する議員が増え始めた。役人の立場で国会議員に物申してキャリアに影響しないかと不安も杞憂だった。

 

Kさんはその後、昇進を果たして、いまは夫、6歳と3歳の2人の娘と充実した日々を送る。厚生労働省に訪れた変化は、財務省、経済産業省と各省に波及した。残業省の汚名は次々とぬぐわれ、最近では在宅勤務も広がってきた。女性活躍は掛け声ばかりではなく、働き方が変わらなければ実現しないのだ。