1年たってさらに待機児童が増えている

 

あれほど大騒ぎして社会問題にもなった待機児童問題だが、1年たって施設に入れない児童がさらに増えたという驚きのニュースだ。読売新聞(5-29)と日経新聞が相次いで伝えている。前者は150自治体を対象に行なった調査で、回答した131自治体の待機児童は1万6920人にのぼった。

 

昨年同時期と比べると1%ぽっちの微増にすぎないが、待機児童解決のための保育施設の整備がいっこうに進んでいないのは大きなショックだ。もっとも待機児童が多かったのは昨年に続いて東京都世田谷区、次いで岡山市、東京都目黒区などだった。この1年間に各地で6万人分の定員が増えるには増えた。たが、需要の多い0~2歳児の受け皿が不足している。かなりの数の保護者が、小さな子どもを預けられないで、親が育児休業を延長して認可の空きを待つなどの「隠れ待機児童」も、少なくとも4万1000人に上っているという。

一方、日経新聞の調べによると、待機児童が減ったのは16区市ある。豊島区は記録が残る02年度以降で初めてゼロを達成した。保育緊急事態宣言を出し、2000人超の定員を増やした杉並区も79%減の29人と大幅に減った。

企業は人手不足で女性を積極的に活用しようとしている。この結果、若い世帯は共働きが増え、都市部で保育施設を整備すると働きたい人を呼び込む結果となる。待機児童問題はそのまま引き継がれていくというのが実情のようだ。0~2歳児への思い切ったシフトで、受け入れ先として幼稚園なども活用すべきという指摘にも応えていかなければならない。