休職しやすさは定着率の良さに繋がるか?

3メガバンクが休職しやすくする制度を相次いで導入する。硬直的な人事制度が若手の転職の動機の一つにもなっており、柔軟に制度を見直して優秀な人材のつなぎ留めにつなげる狙いだ。(日経10-24)

 

すでにソニーやキリンホールディングスは配偶者の転勤や留学、自己啓発を理由に休職できる制度を導入済みだが、銀行業界は働き方の柔軟性では他業界に劣る。転職サイトでは「チャレンジング(挑戦的)な動きが少ない」「将来の展望に期待できない」「完全なトップダウンの文化」といったメガバンクの退職者の不満があふれる。

 

これまで多くの銀行では人事権を持つ人事部が巨大な組織を切り盛りしてきたが、最近は自らキャリアプランを描きたい若手や中堅とのミスマッチが目立ってきたという。フィンテック企業が相次ぎ生まれるなど、銀行退職者が金融の経験を生かせる転職先も増えている。

 

優秀な人材をつなぎ留めようと、三井住友銀行は配偶者の転勤や留学の際に最長で3年休める、その名も「キャリアデザイン休職制度」を月内に設ける。

三菱UFJ銀行も退職せずに起業や留学に挑戦できるようにする「チャレンジ・リーブ」という制度を検討している。

みずほフィナンシャルグループも10月から、大学院や専門学校に通学できる「自分磨き休職制度」を導入している。

 

かつては銀行は大量採用を代表する存在だった。しかし、店舗の統廃合や業務の効率化を進める中で、新卒採用を縮小している。それに比例するかのように、学生の就職先としての人気も一時期に比べると低下しており、多様な働き方や柔軟なキャリアの形成を認めなければ優秀な人材の獲得だけでなく、定着も難しい時代を迎えている。