企業主導型保育の広がりで新しいビジネスが出現

東京都内で企業主導型の保育所が増えている。都の調べでは制度の開始以来2年で、開設が決まったのは236施設。定員数は5000人を超え、すでに123か所がオープンした(4月1日現在)。地域住民を受け入れるという条件があり、駅に近い立地が多い。

ソフトウエア開発の会社は2年前から本社内に施設を開設した。社内の女性社員の年齢別の出産率などをもとに、今後の保育需要の予測を立て、今春から定員を19人から35人に増やした。オムツや着替えは施設が用意するほか親子で夕食もとれ、利用者の満足度は高いという。企業主導型は企業が共同で設置できるのが特徴になっている。建設関係3社のグループは秋葉原駅近くに保育園を開設した。3社とも出産を機に離職する社員が多く、仕事と子育ての両立支援が共通の課題となっていた。3社でコストを分担できるメリットが大きく、設置に踏み切った。企業のこうした動きを見据えて、保育施設の普及を目的としたサービスを展開する企業も出てきた。国からの助成金申請から設計、施工、運営までオールインワンで引き受けるというものだ。

企業主導型保育は認可外の保育施設だが、国から認可保育所並みの助成金を受け取れる。企業側は福利厚生の一環として自社の従業員や契約先の子どもを預かる。ゼロ歳児3人に対して職員を1人配置するなどの設置基準がある。自治体にとっては地域住民の受け入れ枠を設けられるというメリットが大きく、待機児童解消の大きな施策として期待が寄せられている。