一億総活躍、女性活躍の設計図を読み解く

読売新聞(6-3)が、「ニッポン一億総活躍プラン」の閣議決定について新聞の1面、11面を使って大きく取り上げている。目を通すと、安倍政権の並々ならぬやる気が感じられる。この政権は2つの「カツヤク」に内政の行く末を賭けたらしい。一つは全員がんばろうであり、もう一つが女性よ、がんばろうというものだ。だから政府もがんばるという姿勢で打ち出した政策はきめ細かく、それぞれが有機的に機能していくという設計だ。

少々乱暴にこの設計図を読み解くと、政策の前提になっているのは出生率の確保である。希望出生率を1.8とした。一人の女性が生む子どもを増やして少子高齢化に歯止めをかける。同時に今後6年間で戦後最大の「国内総生産(GDP)600兆円」のロードマップを描く。この壮大なビジョンを実現するための方策は多岐にわたる。子育て・介護では保育環境の改善(待機児童の解消は3年後だ)、子育て・介護で離職する女性の復職促進(子育て世代支援センターを全国に配置する)、離職ゼロを10年で実現する(税制、社会保障、配偶者手当などを重視)。女性活躍が大きな柱となっているため、長時間の論議を踏まえて充実したプログラムが用意されたといっていいだろう。

子育て・介護の環境整備の一つとして保育士の処遇改善が論議されたが、結果は現行の2%アップという予想を下回るものとなった。全産業との賃金格差が4万円もあるという保育士の現状からすればまったく物足りない。一億総活躍を支える職業だというのに、職業としての魅力づくりはまだ入り口に立ったところだ。