ヤマトが働き方改革で費用増。営業赤字70億円(四半期)  

 

宅配業界が「働き方改革」で慌ただしい。ヤマトはこの四半期業績すぐれず赤字に転落した。営業赤字は2期(四半期)連続だ。これには「働き方改革」が影響していると日本経済新聞(7-10)が伝えている。

 

同社では従業員の「働き方改革」をめぐって、過去のサービス残業分の賃金の支払いが増えた。また急激に増えた荷物をさばききれない事態が生じて外部業者に委託するコストが重荷になった。

荷物が増えたのは通販のAmazonからの荷物を佐川急便に代わって引き受けたからだ。佐川急便の運賃交渉が決裂して同社は撤退し、入れ替わりにヤマトが参入することになった。だが、思ったよりAmazonの荷物は多かった。たちまちセールスドライバーから悲鳴が起こった。荷物の取り扱い個数は前年比5%増、4億5000万個。入社10年以上のベテランドライバーは朝7時半から夜11時まで働くことになった。時間外勤務は月80時間ほどになる。過労死ラインと呼ばれるレベルだ。夜遅くまで働くのは再配達が多いからだ。利用客は帰宅してから再配達の電話をかけてくるのでいつまでたっても終わらない。

 

改革によって従業員が規定通りに休憩をとるようにしたため、外部委託が増えた。全国の拠点でかかえるパート従業員は10万人にのぼる。賃金だけでなく社会保険料の負担もある。おまけに過去2年間の未払い残業代が発生した。かくして働き方改革が進むにつれ、営業赤字がふくらんだというわけだ。