さりげない優位性を示すマウンティング、対処法はこれだ

何気ない会話で自分の優位性を相手に示す「マウンティング」。実力差のない若手社員や昨今の序列意識が薄れた職場で起きやすい。SNS(交流サイト)で他者の言動を目にしやすくなり、自分が劣っているように感じて疲弊することも。(日経03-19)どう対処したらいいのか。

 

 

 

本来マウンティングとは、サルが他のサルの尻に乗り、群れの中での序列を確認する行為。その言葉が転じ「自分の方が立場が上」だと、言葉や態度で示すことをさす。自慢しているようにも映るが、自慢話と異なるのは、相手を自分より下に見る何らかの意図が語り手にあることだ。

『マウンティング女子の世界 女は笑顔で殴りあう』(筑摩書房)共著者の犬山紙子さんはする側の心理については「根本にあるのは自己承認欲求」と分析。コンプレックスなど負の気持ちを相手を見下すことで満たそうとしているのだ。だから、標的になりやすいのは、言い返さず優しく話を聞いてくれる人や控えめな人だという。

 

まずマウンティングがなぜ起きるのかを知ることから始めよう。
例えば「部長に誘われて飲みに行った時にさ」から始まる会話。これは「自分は偉い人に目をかけられている」というアピールなのだという。

「あなたの部署は仕事と生活のバランスが整っていて『リア充(=リアルな生活の充実)』でうらやましい」などの発言は、一見うらやましがっているようだが、実は「自分よりあなたは大した仕事してないだろうと下に見ている」のだという。
特徴は若手ほど仕事が忙しいアピールが多いことだ。忙しいのは能力を認められ、多くの難しい仕事を任されているからだと言いたがる。それを聞かされた人は、忙しくしていない自分は、仕事をしていないと否定されているように感じる。人によっては、気に病んで眠れなくなるなどし、仕事の質が下がることもある。セクハラやパワハラのように社会的認知もされておらず、会社内にも相談窓口がなく一人悩む若者もいるという。

 

自己防衛する方法はまず話題を変えること。そして、何か言われてもリアクションをせず、マウンティングしてくる人を気持ちよくさせないこと。それでも言ってくるようなら、自分に非はなく、する側に問題があると考え、言葉を真に受けてしまい傷つかないようにしよう。マウンティングをしている側は自分の行為に気付かないことも多い。そこで「これが最近はやりのマウンティング!?」などと冗談めかして話すなど、気付くよう仕向けるのも有効だ。

また、SNS上のマウンティングは、投稿には自分を必要以上によく見せたり、話を大げさにしたりしていることもある。すべてが事実だと思わず一歩引いた目線を持つのも重要だ。SNS上で嫌な思いをしたらまずは端末から離れるのが得策だ。

 

近年、職場の序列意識が薄れ上司と部下の属性が近くなったせいで、上司によるマウンティングも増えている。上司がさりげなく優位性を示すためマウンティングをしてしまうのだ。

この場合の対処法は部下は「上司には逆らえません」といった態度で受け返す、また自分は敵ではないとアピールすることで対処できる。上司はマウンティングがクセになっていることが多く、自分で気付いていない可能性が高い。会議や打ち合わせの時に、部下が自由に意見を言っているかチェックし確認することができる。