パワハラには土壌改革を

厚生労働省がパワーハラスメント(パワハラ)防止に向けての指針案をまとめた。

パワハラを優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超えて、労働者の就業環境が害されるものと定義。そのうえで、パワハラに該当する事例を「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」など6つの類型に分けて具体的に示した。

そこに批判が出ている。例えば、「必要以上に長時間にわたる厳しい叱責」はパワハラだが実際の判断はケース・バイ・ケースという。労働者側から「パワハラ認定の定義が狭い」、つまりもっと厳しくすべきだと意見が出ている。

 

慶応大学、組織マネジメント論の清水教授は、ハラスメントによって才能ある人が活躍できないのは国家的な損失だ。まずはハラスメントを生む土壌を変えるべきではないか。それには人事にも「市場原理」を導入すべきだと日経新聞(12-18)に寄せている。

社員が希望してもっと自由に異動できるようにすれば、厳しくても人望がある上司と、本当のパワハラ上司がみえてくるだろう。そうなればパワハラは市場原理で淘汰される。360度の人事評価など、下地は少しずつできている。スタートアップでは本人の希望をもとに所属を決める仕組みが大企業より進んでいる例もある。

さらに、転職を含む労働市場の流動化が進めば、パワハラがまん延する企業は優秀な人材から選ばれなくなる。人材サービス企業が企業から転職者が出た理由に関する情報をもっと提供すれば、企業選択の段階から市場原理が働くだろう。働く側に選択肢を与えることが、本当の意味での働き方改革と競争力強化につながる。

 

パワハラを防止する対策は、大企業が来年6月から、中小企業が令和4年度から義務づけられることになっている。働く側の選択肢がパワハラ企業を淘汰することにつながる。