ノンアルビールは職場で飲んでもいいか、いけないか

いま流行りのノンアルコールビール(ノンアル)が思いがけなく「働き方改革」につながりそうな気配で、議論が湧いている。「職場でノンアルコールOK?」と題するレポートは読売新聞(7-30)だ。

 

ノンアルコールビールはアルコール分0%の清涼飲料水だ。未成年者が飲んでも法的な問題はない。だから職場で飲んでもいっこうに差支えないはずなのだが、それが問題視されるのはビールという名前のせいだ。あくまでビールの代替品と見られることから「休憩中に飲んで上司から叱られた」という30代の女性社員が読売新聞に投稿したのがきっかけで議論が広まった。「日本の企業文化に馴染まない」「ビールに似た味がするだけでジュースと同じだ」と議論が始まって、しだいに容認派の勢いが強まってきた気配だ。もとからメーカー側は「雰囲気が明るくなり、活発な会議になる」という見解であり、ノンアル各社の中には受付の近くで来客に提供したり、商談などで訪れた人に提供するメーカーもあった。コミュニケーション関係の専門家も、「ノンアルビールが率直な議論を交わす雰囲気を生み出すのなら使い方次第で職場でプラスに働く」という説を唱えて、目下、議論もマーケットも広がる一方である。

 

お得意先とのスーパーランチで昼間から酒を口にする欧米のビジネス習慣に比べれば、日本職場における酒に対する拒否感には根強いものがある。だが、アルコール成分ゼロならなにが悪いということになれば日本文化守護の牙城は一気に崩れる。政府が唱える働き方改革においても、職場におけるコミュニケーションの活発化は生産性の向上につながると問題視しているのだから。この論議の行方、見逃してはいけない。