トヨタが社員の3分の1を対象に在宅勤務の本格展開

6月9日の日本経済新聞をひらいて目に飛び込んできたのは一面トップ、「トヨタ、総合職に在宅勤務」という記事だ。週1日、2時間だけ出社すれば、それ以外は自宅など社外で働けるという。トヨタ本体の2万5000人の社員が対象。在宅時の勤務時間や情報漏れ対応のパソコン導入などの詳細を詰めて8月をめどに制度化するという。

 

この構想が画期的なのは約3分の1もの社員が対象になるということだ。まさに本格的な在宅勤務の幕開けといえるだろう。面白いのはお隣、韓国のマスコミもよほどショックを受けたのか、このニュースを翌日の紙面で大きく取り上げている(朝鮮日報)。

…トヨタの今回の措置は、日本の少子高齢化に対応しながら人材を確保するためだ。柔軟な勤務システムを導入し、女性の育児離職、介護離職を減らそうという狙いがある…と伝えて、トヨタ側の「女性が働きやすい会社、親の介護をする人が働きやすい会社をつくるのが目的。有能な社員が途中で退職せずに通い続けることが企業にもプラスになる」という見解を紹介している。記事の終わりで「トヨタはいい企業だから社員のためにこうした制度を行なうと考えるなら間違いだ。交通費削減、さすがトヨタという評判を上げることが本音」と匿名希望の日本の大学教授の見方にふれているのがご愛嬌だ。

 

日経新聞のトレンドキーワードとして、「働き方」「活躍」に加えて、「多様」が登場してきた。働き方の多様化というフィールドの在宅勤務は、働く人、雇う人の双方にハッキリした利点が見える制度だ。残された課題も少なくないが、トヨタ、リクルートと、話題の会社が全面展開の在宅勤務に踏み切ることで将来の働き方のスタイルが現実のものになってきた。ところで日経のキーワードのトップは「AI」(人工知能)だ。