オリンピック、パラリンピックで得られるものとは?

オリンピック、パラリンピックイヤーとなる年が明けた。首都圏の競技会場がある自治体はバリアフリーに向け整備を急いでいる。

 

パノラマ映像制作の一般社団法人VR革新機構が、地図と周辺映像が連動する「グーグルストリートビュー」に車いす目線で歩道の様子を撮影した映像を配信したところ、37カ国からアクセスがあった。パラリンピック会場までの歩道を見ておきたいというニーズが多いのは、車いす目線でないと分からないことが多いからである。例えば、車いすバスケットボールの会場である武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都調布市)まで最寄りの京王線飛田給駅から車いすで往復するにはエレベーターに8回乗る必要がある。直線距離の近さからは想像できない時間が車いすの移動ではかかる。VR革新機構の代表横松氏は「会場に行くだけで嫌になってしまうかもしれない。せめて事前に情報を提供しておかなければ」と危機感を募らせる。(日経01-06)

 

首都圏は障害者にとって快適な街だろうか。障害者がスムーズに移動できなければ、パラリンピックが首都圏の印象を悪化させるイベントになりかねない。

東京都や千葉県など点字ブロックの設置や段差の解消などを急いではいるが、混雑した歩道では障害者には移動しづらく、危険にさらされる恐れがある。ハード面の整備だけでは解決しない。健常者にエレベーターの利用を控えてもらうなど配慮も促さなければならないだろう。

必要なのは障害の有無や年齢にかかわらず、相互に思いやり、手助けする「心のバリアフリー」だ。真のダイバーシティを成し遂げるにはオリンピック、パラリンピックは貴重な機会になる。