「総活躍」にモヤモヤする女性たち~身の上相談から

新聞の身の上相談は世相を映す鏡だ。大正3年(1914年)から始まった読売新聞の「人生相談」はこの世界の老舗。『きょうも誰かが悩んでる』と題して本にもなった。最近はこんな悩み相談も珍しくないようだ(読売新聞11-5)

 

<相談>

40代の主婦。子供が小学校高学年になり、周りのお母さんたちがこぞって仕事を始めました。専業主婦に満足していましたが、自信を持てなくなりました。専業主婦の才能があったのか、私は家事をそつなくこなします。充実した毎日です。周りのお母さんたちが働きだしても、そんな生活を変えませんでした。すると、「なぜ仕事をしないの。みんな頑張っているわよ」と何度も言われるのです。夫は私に働いてほしくないようです(兵庫・K子)。

 

<回答>

回答者は大学教授。男性。

一昔前は、母親が働くなんてけしからんと言われたとか、働きたいけど子供への悪影響が心配という相談が多かったものです。あなたのようなケースが出てきたというのも、時代の流れでしょう。

時代が進んでも少数派に対する悪口が絶えないのは悲しいことです。経済的ゆとりをとるか、時間的ゆとりをとるかは人それぞれ。働くのと専業主婦になるのと、どちらの生き方を選んでもよいと思います。ここは周りを気にせず充実した専業主婦生活を楽しめばよいのではないでしょうか。ただ社会とのつながりは保っておいてくださいね。専業主婦が陥りがちなのは、子供に対する過保護、過干渉です。PTAなど社会的活動に参加する、子供に家事を分担させることなど心がけてください。

 

3年前に政府が打ち出した「国民総活躍社会」だが、いまもって女性の間で違和感が続いているのかもしれない。「政府から活躍してください!」と言われなくても頑張ってる。人生は活躍することと勝手に決めないでくれという反発。人生相談の背後にはこんな女性たちの納得できない気持ちが見えてくる。