「女性活躍、もっと工夫できるわよ」と怪気炎のエリート女性たち

 連日のように、新聞、雑誌、テレビで「活躍」の文字が躍っている。
「女性活躍」だの、「一億総活躍」だの、安倍政権の広報センスに脱帽する人は少なくないだろう。そうした中で、この騒ぎをビジネスのエリート女性たちがどう受け止めているか、興味深いテーマを文藝春秋12月号が扱っている。『女性活躍、もっと工夫できるわよ』となんとも挑戦的なタイトルで、中村のりこ(ポピンズCEO)、吉田晴乃(BTジャパン社長)、江田麻季子(インテル日本法人社長)の3氏が気炎をあげている。

 「仕事以外はすべて捨てる女性を増やすのか、妻としても母としても輝く女性をめざすのか、そこをよく考えないといけない」(女性管理職3割をめざす政府目標に対して=中村氏)、「3年間も休んだ女性はかなりのブランクが空くので職場には戻れない」(法定育児休業1年半を3年に延長する政府方針に対して=江田氏)、「女性活躍とは、ダイバーシティとは、単なる数字合わせではない。多様な発想が出来る人たちがビジネスに参加することだ」(吉田氏)。締めくくりは「女性活用もいいが、日本の男性がもっと魅力的になること。これが少子化対策にもつながる第4の矢」(中村氏)という発言だった。

 こうした活躍ブームとどうリンクするのか、女性に優しい会社、資生堂に異変が起こっているとNHKが先ごろ伝えた。育児休暇や短時間勤務など、とにかく率先して女性に優しい制度を取り入れてきた資生堂だが、その会社が育児中の女性社員に対して一般社員と同じように容赦なくシフトやノルマを課すという荒業に出た。そのきっかけはこのところの業績不振だという。女性の働き方で先頭で走ってきた資生堂の抱える課題は実に象徴的だ。