「多様性の実現」を男性管理職の業績評価に組み入れるべし

ひと頃、女性活躍やダイバシティなど、企業の女性社員支援の組織のトップは例外なく女性だった。それが数年前から男性管理職のポストに代わったきたのは、経営側が「女性だけに働きかけても限界がある」と悟ったからだ。女性活躍のカギを握る男性管理職層の意識改革を急ぐ企業の様子を日経新聞(1-15)が伝えている。

 

塩野義製薬の女性管理職の全体の比率は8.4%。だが、研究本部に限ると6.0%。育成が遅れており、昨年、研究本部の管理職を対象に、ダイバーシティマネジメント研修を行なった。課長以上は原則として強制参加。女性活躍が進んでいる他部門の男性管理職が女性社員の育成のコツを伝授した。「仕事の与え方にいまだ男女差があり、女性管理職がなかなか育たない。管理職の意識改革が大きな課題」と人事総務部の意見。

社員の9割が男性の古川電気工業は、そのせいもあって女性管理職比率が5%未満。男性管理職が働き方改革や職場環境の改善への理解を深めない限り、女性活躍は進まないと危機感を持つ。役員と管理職向けに勉強会を開催して求められる管理職像や部下との接し方などを議論してきた。女性の部下の生活や制約条件などに気付き、信頼関係を築く大切さを痛感したという声があがっている。

「男女の意識や役割に関するバイアス(偏見)を変えるには時間がかかるが、意識改革に取り組むのに遅すぎることはない」とゴールドマンサックス証券のキャシー松井さん。青山学院大学の北川哲雄教授は「トップがダイバーシティの重要さを自覚することに加えて、多様性の実現を管理職の業績評価に組み入れるなどの取り組みが必要だ」と語る。