「働き方改革」は新卒採用のやり方も変えていく

新卒採用のやり方に風穴を空けたのは、海外の大学に留学している学生たちを受け入れるための対応が始まりだった。それが新卒・中途の垣根を超える通年採用への流れとなった。90年代半ばから、イトーヨーカ堂、ソニー、花王など有力企業が秋採用に踏切って事実上の通年採用を実現した。

 

このほど世界的な消費財メーカー、ユニリーバの日本法人ユニリーバ・ジャパン(東京)が、卒業の2年前に内定を出す新卒採用制度を導入したのも、この流れの延長線上にあると言えそうだ。朝日新聞(6-9)のレポートだ。

対象は大学3年生はもちろん、その範囲を大学1年生にまで広げた。応募者は通年で登録できる。留学中の学生も応募しやすくするためだ。採用方法はエントリーシートを廃止。オンライン上で登録し、ゲームをしたり、質問に答えたりして適性を判断する。人工知能(AI)も活用していく。人事部門の面接や職場で課題をこなす1日がかりの選考などの後、最終面接をして内定を出すという。最終面接と入社のタイミングは、それぞれ最大で2年先まで延長できる。入社は卒業してからとなるが、飛び級などを含めて大学1年生にも内定を出す可能性が出てくる。

 

同社は働き方改革の一環として、いつでもどこでも自由に働くことを認める独自の制度を昨年から始めた。毎年春になると、一斉に入社式が行われ、一斉に新人研修が始まるという、日本独特の風景もそのうち新たな風景に切り替わっていくのだろう。