「保育園落ちた 日本死ね」が宿題に残したもの

これは子どもを保育所に入れることができず、職場に復帰できなかった母親らしき女性の投稿だが、いろんな意味で話題になった。まぎれもなく待機児童問題に何度目かの火をつけた言葉といっていい。

 

これがきっかけとなり、政府は懸命に保育所の増設に力を注ぎ、2016年度中には11万人分が増えた。受け入れ可能人数は284万人分までふくらみ、いまも増設が続いている。

だが、肝心の待機児童の解消は道半ばだ。厚生労働省は2017年末に待機児童ゼロの目標を掲げたが、2017年4月の待機児童の数はまだ2万6000人。年内の目標達成は無理となった。同省は新たにゼロ目標を20年末に先送りしたものの専門家や自治体はこれすら不可能と見ている。

流行りの言葉ではないが、このようにゴールポストが動くのはなぜか。まず働く女性の増加があげられる。さらに保育需要の多い地域に保育所がなかったり、もともと待機児童の数を正確に把握できていない行政の責任も問題視される(保育所申請をしない子どもの数は把握されない)。

 

またまた、待機児童問題は新たな局面を迎えている。安倍首相が衆議院選挙でぶち上げた「保育の無償化」公約だ。これが従来からの目標未達成に加えて予算配分の難問となっている。かくのごとく「女性活躍」「国民総活躍」「働き方改革」「ダイバシティ」で女性の活躍舞台は増える一方で、母親の悲鳴はいつまでも消えない。