育児取得の2020年目標を邪魔するサラリーマンの心理

官庁の育児休業取得が民間企業の3倍以上のスピードで進んでいることが分かった(9-13 朝日新聞デジタル版)。人事院が2015年度の実績をまとめたもので男性公務員の取得率は9.2%。前年より4%アップしており、92年に育休が制度化されて以来、最高の記録となった。ほぼ同じ期間の民間企業平均は2.6%だった。

 

また女性公務員の取得率は前年より0.7%増え、100%になったということだが、むしろ100%でなかったのが不思議な数字だろう。育休取得の期間はどうか。男性の6割は1か月以下で、女性の3人に1人は1~2年という取得状況だった。公務員の場合、育児休暇期間は最大で3年間と定められ、その期間は手取り給与の約半分を支給されることになっている。一方、民間企業では雇用保険から支給される育児休業給付金が1年間支給される。給料と給付金の合計金額が給料の8割を超えないという仕組みだ。少なくともルール上は公務員のほうが恵まれているようだが、これは取得促進で国がけん引役となって率先していこうという意味があるのだろう。

 

人事院は今回の数字について「男性の育休取得の意識の変化が背景にある」と指摘している。政府は官民いずれも育児取得率を2020年までに13%とする目標をあげている。カギは民間企業の動きだが、実質的に減収になるという経済的事情のほか、職場の雰囲気や上司の理解、昇進への影響など、そこにはサラリーマン社会の複雑な心理が残っている。(9-23 岩崎)