海外で不評の、日本企業の長時間労働はダイバーシティ実現のカギ

「働き方改革」が大いに話題となっているが、それが進んでいく方向には、女性活躍やダイバーシティマネジメント、オフィス改革など、多くの乗り越えるべき課題がある。その中でもとりわけ難問は「長時間労働」だろう。この日本企業の悪弊は海外でも名高く、日本で働くことに躊躇する海外の人材は少なくないという。

とりわけ問題なのは長時間残業させて時間外手当を払わない、いわゆる「サービス残業」だ。これが一部のブラック企業だけでなく、大企業でも普通にみられるところが日本の労働環境の深刻な実態を物語っている。日本のサラリーマンが命令されなくても長時間働くのは、それによって雇用を保証され、年功序列で昇給するという「暗黙の契約」があるからだ。日経の連載コラム「働き方改革」では、働き方改革に絡んでくる諸問題を上手に説明しているが、その一つとして長時間労働を取り上げた記事がある(日経8-3)。
労働基準法では一日当たりの労働時間を原則8時間と定め、企業が従業員に残業を命じる場合も、いわゆる36(さぶろく)協定として何時間でも残業が出来る仕組みになっており、職場で長時間労働を許す根拠になっている。政府はいよいよこの問題に取り組むことを宣言し、長時間労働の温床とみて協定を結べる残業時間に上限を設けることを検討するという。

政府が一定のルールを設けたからといって、それが長年の風習を一掃するとはいえないが、この問題解決が女性や高齢者が働きやすい環境づくりの基礎となるのは間違いない。同じ仕事には同じ賃金を支払う「同一労働同一賃金」の徹底とともに、ここにメスを入れないことには女性活躍もダイバーシティも絵に描いたモチとなる。