日本の財界も乗り出したWLBだが、 米国では実現に悲観的
仕事と生活の調和を意味するワーク・ライフ・バランス(WLB)が、労働人口の減少とともに危機感をもって語られる ようになってきた。最近は経済界や財界でも具体的な動きが見られ、とくに顕著なのは女性の育児と就労を両立する環境づくりの面だ。
ワークライフバランスへの取り組みを伝える読売新聞によると、財界は社員の働き方が充実すれば企業の生産性向上に役立つという認識だという。実際、経団連の発表では大手企業の80%以上が経営戦略としてワーク・ライフバランスに取り組んでいる。それらの対策はメンタルヘルス(心の健康)という初歩的なものが多いものの、それでも全国40ヶ所で保育所の運営(イオン)、社員食堂で朝食を無料化(味の素)、来年度からテレワークを実施(明治安田生命)、全社員対象に在宅勤務を導入(アサヒホールディングス)などがあり、さらにKDDIが退社から出社までに11時間空ける制度を設けると勤務改革の生々しい様子を伝えており、企業の動きはかなり本格化してきたようだ。
政府も15年度予算で約2.7兆円を計上し、テレワーク導入や保育所の整備などを後押ししている。こうした動きに呼応して、民間では企業や自治体向けのビデオ会議などのテレワーク向けシステムを売り込む展示会などが開かれている。
興味深いのは、この分野で先進的立場にあるはずの米国がワーク・ライフ・バランスの実現について悲観的なことだ。あるコンサルタント会社の調査でも、およそ9割前後の男女労働者が企業の用意するプログラムは効果がないと答えている。ここらが大いに気になるところだ(岩崎)。