女性活躍の合言葉「2030」はなぜ後退しているのか

 安倍首相が都内で開かれた「女性幹部シンポジウム」(名前からして物々しい)であいさつし、5月の伊勢志摩サミットでは女性活躍の推進を議題として、女性にもっと活躍してほしいという願いを海外に発信していきたいと強調したそうだ(日経2-18)。だが一方で、同じ週のAERAでは、「2030はなぜ後退?」と女性活躍の政策を疑問視する記事が掲載されている。

 女性活躍の政策の柱は2030という4文字に凝縮され、関係者の間で合言葉になってきた。この意味するところは2020年までに社会のあらゆる分野で指導的立場の女性比率を30%までに引き上げるというものだ。くだいていえば、職場の女性管理職30%達成!というわけだ。ところが、昨年暮れに発表された第4次基本計画では「具体的な目標については達成しうる高い水準の目標を設定する」と書かれただけで、これまでの30%目標が後退したような印象で受け取られた。これを受けて、さまざまな分野の目標数値が置き換えられたとAERAは指摘する。民間企業の課長は15%(なんと半分だ)、部長は10%程度、霞が関の公務員課・室長は7%といった具合。国会議員の割合は30%と据え置かれたが、それも、数字は国会議員ではなく、国会議員の「候補」の数なのだそうだ。

 このように目標と現実に大きなギャップがある状態で海外に何が発信できるのか。
AERA編集部は霞が関関係者の困惑した言葉を拾い集めている。
「20年が迫ってから急に言われたって限界がある。もうちょっと早く言ってくれたらよかったのに」
(2-23 岩崎)