女性活躍で後継者難を乗り越える
後継者難で廃業に追い込まれる中小企業の話をよく聞く。高齢化社会に入ってからはとくに珍しいことでもなくなった現象だ。しかし、このところ後継者を女性にすることで会社や店が生き延びるという例が目立ってきたという。読売新聞(1-9)の明るいニュースだ。
廃業は雇用の減少など考えると地域社会へのダメージとしても大きい。国としても大きな損失となるので自治体に「事業引き継ぎセンター」を置いて相談に乗るようにしているのだが、このところの変化の兆しはそればかりでなく、「女性活躍」の世の中の流れが一因となっているかもしれない。こうした風潮は数字になっても現れてきている。女性が社長を務める割合がこの10年で6%から8%へと緩やかに増加しており、加えて16年以降に就任した社長は「同族継承」が34%にのぼっているのだ(帝国データ調べ)。後継社長は男に限るという伝統的な後継者像が崩れ、女性でも優れたひとであれば会社の未来を託するという変化の表れといえるだろう。従業員や伝統を守り、時代の変化に取り組む経営者として、女性の持つバランス感覚に期待する声が強まっている。
父親の体調が悪化したことで勤務先の新聞社を辞めて家業を継いだTさんは、ものづくりの難しさに苦闘した時期もあったが、15年に社長に就任。以後、新たな製品開発、商品づくりに挑みながら、職場の明るい雰囲気づくりにも取り組んでいる。異業種での経験が後継社長に大きな視野をもたらした。