女性の目線が日本版サマータイムを成功させる?
3月から10月にかけて欧米ではサマータイムが始まり、時計の針が1時間進んだり戻ったりする。明るい時間は早朝から働き、夕方はゆっくり過ごすワークライフバランスが狙い。この日本版がこの夏から首相肝入りで始まった。
産経ニュースによると、日本版サマータイムは、出先機関を含む国家公務員の始業時間を1~2時間早め、退庁時間も早めて長時間労働を是正し、民間への普及も期待する。これを受けて経団連も、働き方を変えれば優秀な人材がとどまってくれる可能性がある、と前向きだ。すでに朝型勤務を導入している伊藤忠商事では、午前5時~9時までの間の賃金を高く設定し、午後8時以降の残業は原則禁止。昨年5月の運用開始から総合職で月約4時間、事務職で同2時間の時間外勤務削減に成功し、時間外手当の支給額は早朝割増を含めても約7%減となった。朝8時前に始業した社員にはバナナやヨーグルトを振る舞い、社内託児所を1時間早く開くなどの施策も功を奏している。
一方、一般の子育て世代には不安がある。早朝保育の追加料金は痛く、子どもの生活リズムの乱れも心配だ。開所を朝6時に設定せざるを得ない保育所も、保育士の長時間労働の可能性を懸念している。
涼風が吹く夕べ、家族でBQQを楽しむワークライフバランスが実現できれば何よりだが、始業が早くても仕事が早く終わるとは限らない、親も子も疲れそうとの声もある。運用には女性の目線への配慮が欠かせないだろう(藤井)。