即戦力となるか?眠れる働き手230万人
転居や出産などを機に、働きたくても都合に合った働き先が見つけられない女性を中心に、保育・看護・美容分野の潜在労働力は230万人いるとされる。(日経11-14)
保育や看護など人手不足の業界で、資格を持つ働き手を発掘・確保する動きが広がり始めた。ますます深刻化する人手不足の切り札になると期待したい。
潜在労働力の230万人は厚生労働省などのデータを基に資格を持ちながら当該分野で就労していない人数を推計した。これら業界の就業者は女性の比率が高い。15年の国勢調査では、保育士は97%、看護師は93%、美容師は75%に上る。潜在労働力でも女性の有資格者が大半を占めるとみられる。
首都圏を中心に保育園を運営するグローバルグループは、保育士の9割以上は女性が占め、配偶者の転勤などで離職する人材を転居先の保育所と融通し合う仕組みを導入。
看護師の確保では、インターネット経由で看護師マッチングを手掛けるフォー・ユー・ライフケア(東京・港)は、日数限定や非常勤に特化して、看護師と高齢者施設や医療機関を結びつける。看護師に復帰した都内在住の女性(26)は「週1~2回、自分の希望するペースで働ける」と評価。以前に常勤した保健所では残業が多かったが、資格を生かしてプライベートも両立できるとして同業の知人にも勧めたいという。
美容分野では、ヘアカット専門店「QBハウス」のキュービーネットホールディングスが、離職した理美容師が復帰しやすいよう、6カ月間給料を支払いながらカット技術や接客に関する研修を施し、現場復帰を促す。
保育や看護、美容分野の人材不足は深刻だ。資格を持ちながら保育士として働いていない「潜在保育士」は厚生労働省の推計で約76万人。野村総合研究所の調査によると潜在保育士の6割が就労を希望しているという。実にもったいない話である。