半年の受講で感覚が戻ってくる専業主婦の再就職塾

 男性と同じくらい女性が働くようになれば(労働力率)、日本のGDPを1割かた押し上げるという試算がある。それならば、と政府、民間企業はこぞって「女性活躍」をスローガンに躍起になっているわけだが、一方で大学も負けじとばかりに「女性活躍市場」に参入してきたと、関西学院大学の例を日本経済新聞がレポートしている。

 もっぱら経営層への登用が話題になりがちな「女性活躍」だが、大事なことはその候補者の分母となる女性戦力のすそ野の広がりだろう。分母が充実すればおのずと女性管理職が増えていくのは言うまでもない。関西学院大学が2008年に始めた「ハッピーキャリアプログラム」は女性の再就職講座だ。対象は大卒以上、企業で勤務経験のある専業主婦と分かりやすい。大学側からはこれまでの経験から「潜在能力が高く、半年受講すれば以前の輝きを取り戻すと高評価だ。これまで136人が修了。このうち93人が再就職した。
大手ゼネコンで勤務経験のあるAさんは建築計画を審査する専門機関へ就職が決まった。出産を機に仕事を辞め、以来13年間専業主婦だった。「徐々に感覚が戻ってきた。責任ある仕事にも挑戦したい」と意欲的だ。

 日本の上場企業の役員比率はわずかに3%。欧米企業が2ケタを超えているのと比べていかにも少ない。従来は少数の女性エリート社員を大事に育てて幹部に据えるのが日本企業のやりかただったが、海外から吹いて来る風は「もっと、もっと」と騒がしい。管理職の母集団を充実させるという、こうした試みが軌道に乗ってくれば結果が出てくるのもそう遠くないはずだ。(1-18 岩崎)