副業時代がやってくる!?生産性向上の切り札になるか

企業が従業員に副業を認める動きが広がっている。生産性向上を目指す政府の方針もあり、全員が副業として関わるスタートアップが登場するなど産業の新陳代謝への期待が高まる。一方、大手企業の本格活用はこれから。来るべき「副業時代」の到来に備え試行錯誤が始まっている。(日経07-11)

 

日本型雇用の枠組みが崩れる中、副業が生産性向上の切り札として注目を集める。政府も6月に閣議決定した「成長戦略実行計画」で副業の拡大を掲げた。

副業の利点としては、本業を持っているからこそ、目先の利益にとらわれずに長期的に事業を育てられる点や、本業で培った技術やノウハウを生かせる点が挙げられる。幅広い人材を集め新しい事業に乗り出すスタートアップが副業活用で先行する。スタートアップ企業の多くは立ち上げ時に「信用」が壁になるが、大手企業の肩書があればそれを補うことができる。副業の広がりは新たな起業の可能性を秘める。

しかし、大手企業の多くは、自社の人材を外部に出すことや、他社の人材を受け入れることに慎重だった。だが自社では賄えない即戦力を確保するため、副業を解禁する企業が出始めた。

日本経済新聞社が3月末~4月上旬に東証1部上場などの大手企業に実施したアンケート調査(121社が回答)で、副業の利点は「社員の成長やモチベーション向上」が76.6%、「自社の新規事業開発や本業の強化」が44.7%となった。

 

副業への関心が高まる一方、就業を希望するも実際に始める人は限られている。

67万人と2200万人。前者は総務省の調査で明らかになった副業をしている人数。後者はみずほ総合研究所が推計した潜在的に副業を希望する就業者の数だ。理想と現実は遠い。

本業がおろそかになるのではないか。社員が働き過ぎるのではないか。会社にとってもリスクが大きいのではないか。懸念の声が聞こえる。

法整備しかり、避けては通れない問題もあるが、優秀な人が外で活躍し、一人ひとりの働く価値を高めていくことが今後はより重要になる。