副業に待ったの声、規制緩和遠のく

副業や兼業をしやすくするため、労働時間の管理を柔軟にしようとしている規制緩和が難航しそうだ。(日経08-09)

 

現在、労働基準法では労働者保護のため、複数の職場で働く人の労働時間を通算することを定めている。それは、複数の職場で働くことで結果的に長時間労働が生じやすいからだ。加えて、労働者の健康管理も、本業と副業でどちら側の企業の責任になるのか不明確になるなどの懸念もある。

しかし、それでは増え続ける副業希望者の意向に沿わない。総務省によると17年時点で424万人と、20年前よりも約100万人増えた。一方、現在副業を容認している企業は全体の15%にとどまる。副業は新たな収入を得たり、本業では得られない能力が身についたりするメリットがある。

政府は全ての職場での労働時間を通算する現行制度の見直しを閣議決定したが、過重労働につながるとの声もあり、厚生労働省は慎重な姿勢を示している。今秋にも議論が本格化するが、決着は見通せない。働き方の選択肢が広がるよう、労使がいかに歩み寄れるかが試されている。