働く女性に忍び寄るダブルケアの衝撃
家庭を持つ女性が、子育てと介護という重荷を同時に背負う事態を「ダブルケア」というのだそうだ。母親の14%がこの事態に、数年先には「直面しそう」という結果がソニー生命保険の調査で分かった(日本経済新聞)。この記事を取り上げるにあたって「ダブルケア」という言葉をネット検索したが見つからない。それも道理だ。この調査で初めて使われた造語だった。
調査結果は、「ダブルケア」をすでに経験した女性が8%(現在も含む)、数年先に直面しそうだと考えている女性が14%ということだった(調査は大学生以下の子供がいる全国の20~50代の母親に過去の介護や今後の見通しなどを聞いたもの。約1000人が回答した)。
子育てと介護が同時進行というのがどういう状況かといえば、妻であり、娘であり、嫁である女性が、高齢者介護と子育ての挟み撃ちにあっているということだ。これに共働きが加われば悲鳴をあげたくなる状況であるのはたしかだ。調査では、ダブルケアが核家族化・女性の晩婚・晩産化の進行によってみえてきた現象だと解説している。だが、行政が高齢者と子育て、それぞれ縦割りになっていることもあって、なかなか実態が見えてこない。公的な調査もほとんどなく、たしかなのは公的な介護や子育ての支援サービスが不十分なことだ。
さて、どうしたらいいのか。回答者が口々に言っているのは、とりあえず介護と育児を合わせて相談できる行政窓口の設置だった。この問題、女性の社会進出が進むとともに、深刻さも加速しそうだ。