働き方改革はオフィスの所有面積を増やす!?
オフィスビルの不足感が強まっている。11月の東京都心の空室率は1.98%と、バブル経済期の1991年以来27年ぶりに2%を下回った。IT(情報技術)やゲーム産業など、業容拡大で人手を増やした企業が目立つ。共有空間を増やし社員同士のビジネス交流を促すなど、新しい働き方への対応も空室率低下につながった。コミュニケーションの活性化には場であるオフィス面積を必要とする。
11月時点の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の空室率は前月比0.22ポイント下がった。低下は4カ月連続で、前年同月と比べると3割低下した。(日経12-14)
始まりは12年以降の景気拡大だ。18年は新たに完成する大型オフィスビルの貸し床面積は約60万平方メートル。17年の3倍に達する。需要を上回り空室が増える可能性もあったが、事業拡大でオフィスを借り増す企業が多く、空室率は需給均衡の目安とされる5%を大幅に下回る。紹介できる物件が非常に少ない状況だと仲介大手会社は言う。
バブル期以来のオフィス不足になった理由は3つある。
1つは入居企業の多様化だ。かつて都心の大型オフィスの主な利用者は金融機関をはじめとする大企業。景気拡大で次々と拠点を増やしていた。現在はIT企業や地方企業など裾野が広がり、増えたスペースを吸収している。
次に、オフィスの用途が広がったことも大きい。移転により、社員食堂やバーなどを新設、社員の交流を促し、新しい事業アイデアの構築を進めるという会社は、以前より、床面積が1割増え、オフィスの手狭感も解消も図る。
3つ目は、席を自由に選び様々な企業と商談などができるコワーキングスペース(共用オフィス)の普及だ。
既存ビルの空室も減っている。通常、新築ビルができると企業の移転で既存ビルが空く「二次空室」が発生する。現状は同じビルの他の企業が増床を決める事例もみられ、空き部屋が出てこないと仲介会社は言う。