保育所増えても待機児童問題は解決しない
知れば知るほど危機感を覚えるのがワーキングマザーを応援する保育士の実態だ。近年は人手不足のため、保育士の仕事の負担が増え、保育事故が相次いでいる。長時間の保育が常態化した保育士の職場を読売新聞(10-28)がレポートしている。
待機児童対策は、保育所は増設されるものの保育士は慢性的に不足状態のままだ。保育士の有効求人倍率は2.76倍。全産業1.43倍の中でその数字は際立っている。そればかりでない、最高倍率の東京は5.66倍だ。1人の保育士が国の基準で決まっているため(1~2歳児クラスで6人)、器は出来ても受け入れ能力が伴わないので待機児童の数がなかなか減らない。しかも質の高いベテラン保育士の割合が減って新人に過度の負担がかかっている。昼寝の時間にうつぶせで寝かせられた1歳の男児の志望、牛乳アレルギーの1歳の男児の誤飲による救急搬送…日々の業務に追われる現場の保育士の負担軽減は緊急の課題だ。とくに都市部にシフトした集中的な対応が必要だ。
保育所を増やし、保育士を増やすのは理想だが、一朝一夕に実現できるものではない。それまでは、保護者の長時間労働の是正や男性の育休取得で保育時間、期間を減らしていくしかない。「働き方改革」で成果を出していくことが待たれる。今のままでは安心の子育てとはほど遠い。